「もう少し自分の中で整理できたら話します」
これまでたくさんの人のお話を聞いてきましたが、
この言葉を何度も耳にしてきました。
そして実は、私自身もよくそう思っていました。
ちゃんと整理してから話そう。
まとまってから相談しよう。
何が問題なのか分かってから聞いてもらおう。
そんなふうに考えていたのです。
でも今は思います。
整理してから話すのではなく、
話しながら整理されていくことの方が
多いのではないかと。
私たちは子どもの頃から、
「分かりやすく話しましょう」と教えられます。
順番に説明しましょう。
結論から話しましょう。
相手に伝わるように話しましょう。
もちろんそれは大切なことです。
仕事の場面では特に必要でしょう。
でも、
自分の気持ちを話す時まで
完璧である必要はないと思うのです。
なぜなら、
人の気持ちはそんなにきれいに
整理されていないからです。
嬉しい気持ちと
不安な気持ちが同時にあることもあります。
進みたい気持ちと
怖い気持ちが一緒にあることもあります。
辞めたいと思いながら続けたい気持ちもある。
そう考えると、
整理されていないのは当たり前なのかもしれません。
私自身、
これからの働き方について
考えていた時期がありました。
今までの仕事を続けるのか。
新しいことを始めるのか。
収入はどうするのか。
将来はどうなるのか。
頭の中にはたくさんの考えがありました。
でも、自分一人で考えていると、
どこから手をつけていいのか
分からなくなるのです。
考えているつもりなのに、
同じ場所をぐるぐる回っている感覚。
前に進んでいるのか
後ろに下がっているのかも分からない。
そんな時間がありました。
ところが不思議なことに、
誰かに話していると少しずつ整理されていくのです。
話し始めた時は全然違うテーマだったのに、
「そうか、私が本当に不安だったのはそこだったのか」
と気づくことがあります。
話しているうちに、
自分の言葉が自分の耳に届く。
そして初めて見えてくるものがあります。
相談支援の仕事をしていた時も同じでした。
最初は
「何を話していいか分かりません」と言っていた方が、
少しずつ言葉を重ねるうちに、
自分の気持ちに気づいていく。
私はその瞬間を何度も見てきました。
だから今は、
「まとまってなくても大丈夫ですよ」
と伝えたいのです。
話が飛んでも大丈夫。
同じ話を繰り返しても大丈夫。
途中で泣いてしまっても大丈夫。
沈黙があっても大丈夫。
うまく話せなくても大丈夫。
大切なのは、
上手に話すことではありません。
自分の中にあるものを少し外に出してみることです。
私は最近、
「整理するために話す」
という考え方が好きになりました。
整理してから話すのではない。
話すことで整理される。
この順番でもいいのだと思うのです。
もし今、
頭の中がごちゃごちゃしているなら、
無理にまとめようとしなくてもいいかもしれません。
ノートに書いてみる。
信頼できる人に話してみる。
独り言のように声に出してみる。
方法は何でも構いません。
大切なのは、一人で抱え続けないこと。
整理できない自分を責めないこと。
まとまらないままでも、
一歩を踏み出していいこと。
私はそう思っています。
そして、
そんなふうに少しずつ
言葉にしていく時間そのものが、
自分を大切にすることに
つながるのではないかと思うのです。
