アドバイスが欲しいわけじゃないとき

誰かに話を聞いてほしい。

そんな時があります。

でも不思議なことに、

話を聞いてほしいと思っている時ほど、

アドバイスがしんどく感じることがあります。

もちろんアドバイスが悪いわけではありません。

実際に助けられることもあります。

新しい視点をもらえることもあります。

行き詰まっていた状況が動き出すこともあります。

でも、

今はそうじゃないんだよな。

そんな時もあります。

私自身、そんな経験があります。

何かに悩んでいる時、

勇気を出して話したのに、

返ってきたのは正論ばかり。

「こうしたらいいやん」

「気にしすぎやで」

「考えすぎちゃう?」

相手は励まそうとしてくれている。

力になろうとしてくれている。

それも分かっています。

でも、その時の私は

答えが欲しかったわけではありませんでした。

ただ、

「しんどかったね」

と言ってほしかった。

「そんなふうに感じていたんやね」

と受け止めてほしかった。

それだけだったのです。

相談支援の仕事をしていた頃も、

同じような場面をたくさん見てきました。

人は意外と、

答えを持っていることがあります。

どうしたいのか。

何が嫌なのか。

本当は何を望んでいるのか。

心のどこかでは分かっていることがあります。

ただ、それを言葉にできない。

整理できない。

一人では見つけられない。

そんな状態のことがあります。

だから必要なのは、

新しい答えではなく、

自分の中にある答えを見つける時間だったりします。

話しているうちに、

「あ、私こう思っていたんだ」

と気づく。

「本当はこれが悲しかったんだ」

と気づく。

そんな瞬間があります。

私はその時間が好きです。

誰かを変えるわけではない。

正しい方向へ導くわけでもない。

ただその人が、

自分の気持ちに出会う時間です。

もちろん、

アドバイスが必要な時もあります。

知識が必要なこともあります。

具体的な方法を知りたい時もあります。

でも、

いつもそれが必要とは限りません。

時には、

ただ聞いてもらうだけで十分な日があります。

「分かるよ」

と言ってもらうだけで救われる日があります。

何も解決していないのに、

少し楽になる日があります。

それは弱さではありません。

人は理解されることで

安心する生き物なのだと思います。

安心すると、

固くなっていた心が少しゆるみます。

すると、

自分で考える力が戻ってきます。

前を向く力が戻ってきます。

だから私は、

話を聞く時に気をつけていることがあります。

すぐに答えを渡そうとしないこと。

すぐに解決しようとしないこと。

まずは、

その人がどんな景色を見ているのかを

知ろうとすることです。

もし今、

誰にも分かってもらえない気がしている人がいたら、

覚えていてほしいことがあります。

あなたが欲しいのは、

アドバイスではなく理解かもしれません。

そしてそれは、

決してわがままなことではありません。

人はまず理解されてから、

前へ進めることもあるのです。

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