話すことで見えてくるもの

私は長い間、人の話を聞く仕事をしてきました。

社会福祉士として。

介護支援専門員として。

相談支援の仕事を通して、

本当にたくさんの方のお話を聞かせていただきました。

その中で、

ずっと不思議に思っていたことがあります。

それは、

「人は話しながら、

自分で答えを見つけていくことがある」

ということです。

相談に来られた時は、

「どうしたらいいか分からないんです」

と言っていた人が、

話しているうちに少しずつ表情が変わっていく。

最初はモヤモヤしていた話が、

少しずつ整理されていく。

そして最後には、

「たぶん私はこうしたかったんだと思います」

と自分の言葉で話されることがあります。

私はその瞬間が好きでした。

もちろん、す

べての悩みが解決するわけではありません。

人生はそんなに単純ではありません。

話したからといって

問題がなくなるわけでもありません。

それでも、

誰かに話すことで少し肩の力が抜けたり、

自分の気持ちに気づけたりすることがあります。

私は最近、自分自身にもそのことを感じています。

考えごとが多くなると、

頭の中がごちゃごちゃしてきます。

あれもしないと。

これも考えないと。

将来はどうしよう。

本当にこのままでいいのかな。

そんなふうに考えているうちに、

何が不安だったのかさえ

分からなくなってしまうことがあります。

でも、誰かに話してみると不思議です。

話しながら、

「あ、私が気になっていたのはそこだったんだ」

と気づくことがあります。

誰かに正解を教えてもらったわけではありません。

ただ話しただけです。

それなのに見えてくるものがあります。

だから私は、

話すことには力があると思っています。

最近はSNSや動画でたくさんの情報が流れてきます。

「こうしたらうまくいく」

「こう考えたら幸せになれる」

そんな情報もたくさんあります。

もちろん参考になることもあります。

でも私は、

誰かの正解よりも、

自分の本音の方が大切だと思っています。

そして本音は、

急いで探そうとすると見つからないことがあります。

静かに話している時。

安心して話せる相手がいる時。

ふとした瞬間に出てくることがあります。

だから私は、

人の話を聞くことが好きなのかもしれません。

アドバイスをすることより、

その人が自分の言葉を見つける瞬間に

立ち会うことが好きです。

そして、私自身もまた、

そんな時間に助けられてきました。

もし今、

頭の中が少しごちゃごちゃしている人がいたら、

無理に答えを出そうとしなくても

いいのかもしれません。

まずは誰かに話してみる。

ノートに書いてみる。

自分の言葉にしてみる。

話すことで見えてくるものが、

きっとあると思うのです。

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